インプラントは、どの部位にも適応することができますが、噛む時に重要な役割を果たす奥歯に関しては、いくつか注意すべき点があります。今回はそんな奥歯（臼歯部）のインプラントの注意点についてわかりやすく解説します。

▼手術に伴うリスクについて

奥歯のインプラント治療では、上下で異なるリスクを伴います。まず上顎の奥歯のインプラントについてですが、すぐ近くに「上顎洞（じょうがくどう）」と呼ばれる空洞が存在しており、人工歯根が突き出るリスクがあります。専門的には“上顎洞への穿孔（せんこう）”と呼ばれる現象で、インプラント治療そのものが失敗します。

下顎の奥歯のインプラントでは、「下顎管（かがくかん）」を損傷するリスクがあります。下顎管には重要な神経と血管が収められており、これらを傷つけると神経麻痺や大量出血を招くことがあるのです。こうしたリスクは、歯科用CTによる精密診断や正確な手術を実施することで回避することが可能です。

▼強い力がかかりやすい点に注意

奥歯は、噛んだ時に最も強い力がかかる部位です。歯ぎしりや食いしばりといった習癖があると、上部構造が欠けたり、歯周組織に炎症が起こったりするため要注意です。噛み合わせが悪いことで、インプラントの寿命が縮まることもあります。

▼まとめ

このように、最も強い力がかかる奥歯は、インプラント治療を実施する際にいくつか注意すべき点があります。安全かつ確実なインプラントを行うためにも、万全な状態を作っておく必要があります。